冒険の始まり

故ラミナス国王降伏勧告受け入れから2年。
都市国家ビュエルバの元首ハルム・オンドール4世は、ラミナス国王暗殺したバッシュ・フォン・ローゼンバーグは処刑され、旧ダルマスカ王女アーシェ・バナルガン・ダルマスカは夫と父を失った悲しみのために自害した、と公表した。
たちまちダルマスカはアルケイディア帝国の占領下におかれ、不自由な生活を強いられながらも、市民たちはたくましく生活していた。
ここはラバナスタダウンタウン。
帝国の支配下に置かれたラバナスタの現状に違和感を覚え、気持ちの整理がつかぬ少年がいた。その少年は、いつかこんな状況から抜け出し、空賊になって大空を飛び回ることを夢見ていた。
少年の名は、ヴァン、17歳。
大逆反バッシュの軍隊に加わっていたために「国王暗殺を企てた罪人」と責められながら他界したレックスの弟だった。
流行病で両親を亡くしたあと、道具屋の主人バンガ族のミゲロに世話になっているヴァンだが、時にはスリや盗みを働くことがあった。
そんなヴァンを心配そうに見守っている17歳の少女、パンネロ。彼女もまた両親を亡くした孤児であり、ヴァンの幼なじみでもあり、ヴァンとともにミゲロにはとても世話になっていた。
その日はラバナスタの新執政官ヴェイン・カルダス・ソリドールを歓迎する宴がラバナスタ王宮にて行われる予定だった。
2年前、ダルマスカとナブラディアを滅ぼした張本人ヴェインは、次期アルケイディア皇帝と呼び声高く、彼を兄レックスの敵と憎むヴァンの胸中は複雑だった。


宴の準備でラバナスタの街はにぎわっていた。
ヴァンはスリをしたのをパンネロの見つかり、説教された上に、ミゲロが困っているようだから店を訪ねてみろと言われ、仕方なくミゲロの店に足を運んでいた。
ミゲロの話によると、どうやら宴で使用する食材が届かなくて困っているようだ。砂海亭で働くトマジに早急に食材を調達するよう頼むためにカイツを使いに出したが、行ったっきり戻ってこないという。カイツを呼び戻してほしいとヴァンに頼み込んできた。
「つまらない仕事だな・・・・」
渋々と砂海亭に現れたヴァンにトマジは、ラバナスタに食材が届かないのは砂漠に現れた「はぐれとまと」と言うモンスターのせいだ、と言った。
今までガラムサイズ水路の多くのウェアラットを退治してきたヴァンにとっては、大物の敵だ。自分の腕を試すチャンスと言わんばかりに、嬉々として東ダルマスカ砂漠へはぐれとまと退治に向かった。


  • FF12ストーリー あまい誘惑